ここのところ、急に暖かくなって
きましたね。
半袖でもいいくらい…というのは
少し大げさかもしれませんが、
こういう時期こそ体調管理には
気をつけたいものです。
先週の金曜から土曜にかけて、
私が所属している団体の宿泊研修があり、
青島のホテルで2日間缶詰め状態でした。
私は指導する側のスタッフとして参加しましたが、
逆に私自身が、多くの学びをもらった二日間でも
ありました。
さて先日、あるコラムを読んでいて、
とても考えさせられる一節に出会いました。
「正解を教える教育は無意味だ!」
という主張です。
最初は少し極端にも感じましたが、
読み進めるうちに、これは住宅業界にも
通じる話だと感じました。
私たちは子どもの頃から、学校で「正解」を
教えられて育ちます。
テストには必ず答えがあり、
それに近いほど点数が高くなる。
社会に出ても「正しいやり方」や「成功事例」を学び、
それをなぞることで評価される場面が多いものです。
しかし今の時代は、スマホを開けば、
たいていの答えはすぐに見つかります。
住宅の分野で言えば、
断熱性能の基準
住宅ローンの仕組み
間取りのアイデア
補助金情報まで――
家づくりの情報も、かつてとは比べものに
ならないほど手に入るようになりました。
では、それで家づくりは簡単になったのかというと、
私はむしろ逆だと感じています。
なぜなら、情報が増えたことで「正解らしきもの」が
無数に存在するようになったからです。
たとえば、
デザイナーズ系の平屋が人気です。
回れる動線の家が便利です。
断熱等級6以上がトレンドです。
収納は多いほど良いです。
どれも間違いではありません。
しかし、すべての人にとっての正解でも
ありません。
実際の現場では、こんなことが起きます。
・収納を増やしすぎて物が増え、
かえって片付かない家。
・回遊動線を優先した結果、出入口が2カ所となり
落ち着く場所がなくなる家。
・断熱性能は高いのに窓が少なく、
昼でも暗いと感じてしまう家。
これは「正解の情報」をそのまま採用した
結果です。
私は長年この仕事をしてきて、
強く感じていることがあります。それは、
万人にとっての正解な家は存在しない。
あるのはただ一つ、
その家族にとっての最適な住まいだけです。
だからこそ家づくりは、本来「考える行為」
なのだと思います。
その家でどんな暮らしをしたいのか。
何を優先したいのか。
将来どう変化するのか。
この問いに向き合うプロセスそのものが、
家づくりの本質だと思うのです。
実際の暮らしは、テスト問題ではありません。
人生にも、家づくりにも、模範解答は存在しない、
のです。
私はこれからの家づくりに必要なのは、
正解を探す力ではなく、正解をつくる力
だと思っています。
そのために私たち設計者や施工者ができることは、
答えを提示することではなく、
一緒に理想の住まいを考え続けることです。
お施主様と対話を重ねていくと、不思議なことに、
お客様ご家族にとっての「自分たちらしい答え」が
少しずつ見えてきます。
それは雑誌にもネットにも載っていない、
その家族だけの正解です。
教育の話に戻れば、これから必要なのは
「正解を覚える力」ではなく、
「自分で考え、選び、判断する力」だと言われています。
実はこれは、家づくりにもそのまま当てはまります。
家づくりとは、間取りを決めることではなく、
その家に住まわれるお施主様ファミリーの
暮らしの価値観を言語化する作業なのだと、
私はこれまでの経験から学んでいます。
家づくりの正解を探すのではなく、
自分たちの正解となる家をつくる。
そんな家づくりを、これからもお手伝いして
いきたいと思っています。