年が明けて、あっという間に1か月が経ちました。
立春も過ぎ、宮崎はプロスポーツのキャンプシーズン。
宮崎の街に少しずつ活気が戻ってくるこの時期に、
私は毎年、「時間の流れ」について考えさせられます。
さて、最近読んだ神田昌典さんのコラムに、
非常に腑に落ちる話がありました。
東京大学の西成活裕教授による「渋滞学」です。
渋滞の先頭には、事故も工事もないですよね。
その原因の多くは、ドライバーも気づかないほどの
“緩やかな上り坂”なのだそうです。
その坂に差しかかると、無意識にスピードが落ち、
後続車が車間距離を詰める。
そして、その「間」が消えた瞬間、
流れは止まり、渋滞が生まれる。
これを読んだ瞬間、
「これ、家づくりと似ているなぁ……」
私は思わず唸ってしまいました。
家づくりのご相談を受けていると、
ほとんどのお客様が、家づくり自体は初めてです。
当然ながら、「家づくりのタイムスケジュール」を
具体的にイメージされていない方が多いのが実情です。
そこで私は、比較的早い段階で
家づくり全体の流れをお話しするようにしています。
たとえばハミングホームでは、
工事が着工してから完成・お引渡しまで、
およそ4か月ほど掛かります。
ここまでは想像されている方も多いのですが、
その前段階――
土地、資金計画、間取り、仕様決めまでに、
6か月以上かかることが多いとお伝えすると、
ほとんどの方が驚かれます。
そんな中で、
・間取りプランを早く決めたい!
・総工費を早く確定したい!
・とにかく工事の着工を急ぎたい!
という声をいただくこともあります。
もちろん、スピード感を重視すること自体は
決して悪いことではありません。
ただし、その過程に
“考えるための間”がない家づくりは、
後から必ずどこかで「渋滞」を起こします。
たとえば、動線や使いやすさを優先するあまり、
収納計画が後回しになってしまうケースがあります。
そんなとき私は、
「少し立ち止まって、各部屋ごとに収納について
整理して考えましょう!」
とお伝えしています。
なぜなら、住み始めてから
「やっぱり収納が足りなかった……」
などといった後悔だけは、
絶対にしてほしくないからです。
これは知識不足でも、センス不足でもありません。
単純に、“立ち止まる間”が足りなかっただけなのです。
最近は、家づくりもどんどん効率化しています。
その一方で、家づくりは
決断・決断・決断の連続です。
その決断と決断のあいだにある「間」が消えたときに、
家づくりは静かに渋滞を始める。
私は、そう感じています。
ハミングホームでは、
あえて打ち合わせの回数を増やしすぎず、
「次の打ち合わせまでに考える時間」を
とても大切にしています。
すると不思議なことに、
「朝はどう過ごすだろうか?」
「雨の日の洗濯はどうなるだろうか?」
「10年後、子どもたちが巣立った後の暮らしは?」
こうした問いを、お施主様ご自身が
自然と整理されていくのです。
(私は何もアドバイスしなくても大丈夫です)
私は、右脳を意識的に使う設計をこれまで
大切にしてきました。
自分では「完璧!」だと思ったプランでもあえて
少し時間を置き、少し距離を取ることで、
その時には辿り着けなかった答えが
ふっと浮かんでくる瞬間があるからなのです。
良い家は、
良い図面から生まれるのではありません。
良い「間」から生まれる。
私は本気でそう思っています。
AIが進化し、
正解らしきものは、すぐ手に入る時代になりました。
しかし、
「その正解が自分たちに合っているか?」を考えるのは、
人間にしかできません。
家づくりは、勢いも大事だと私は思います。
ただし、立ち止まるところでは、
しっかり立ち止まることをお勧めしています。
「急がば回れ!」昔の人は本当に素晴らしい
ことわざを残してくれていますよね。笑
その“急ぐとも回り道する間”こそが、
10年以上の先の住空間においても
「この家にして良かった!」と思える
一番の近道だと、私は信じています。