10月となり、少し前に比べてぐっと過ごしやすくなりました。
現場で作業をされる職人さんたちも、真夏の暑さから解放され、だいぶ仕事がしやすくなったことでしょう。
さて、私にとって10月というと、なぜか「資格試験の月」というイメージがあります。
インテリアコーディネーター資格、宅地建物取引士、そして一級建築士の二次試験など、
建築・住宅業界に関係する資格試験が毎年10月に行われています。
建設業界では、資格を生かして仕事をしている人も少なくありません。
現場で働く職人さんたちも、「○○技能士」といった資格を持っておられる方が多くいらっしゃいます。
そう考えると、「資格とは、仕事をするための入場チケットにすぎない」
と言われるのも、なるほどうなずけますね。
実は私も、一級建築士をはじめ、いくつかの資格を持っています。
もちろん、一級建築士を取得するためには、それなりに勉強しました。
いや、「それなり」どころではなかったような気もします。笑
人より何倍も勉強して、それでも学科試験に落ちた日には、
「私のような、あんぽんたんには無理だー!」
と叫んだこともありましたね。爆
そんな苦労をして取得した一級建築士ですが、その資格を持っているからといって、お客様から、
「岩下さん、一級建築士だから家を建ててください!」
と言われることは、ほとんどありません。
資格を持っていることと、お客様から選ばれることは、やっぱり別なのだと思います。
ただし、これから家づくりを考えておられる方には、私の経験から一つアドバイスがあります。
それは、「できることなら、建築士の資格を持っている営業担当者をお勧めします」
ということです。
もちろん、資格を持っていなくても、豊富な経験と実績を持ち、お客様の要望をしっかりかなえてくれる優秀な営業マンはたくさんいます。
実際、私の弟も以前、大手ハウスメーカーの営業をしていました。
建築士資格は持っていませんでしたが、多くのお客様から契約をいただき、会社から表彰されるほどの実力者だったようです。
ですから、「資格がある=優秀」「資格がない=ダメ」という単純な話ではありません。
それでも建築士資格を持つ担当者をお勧めするのは、家づくりには間取りだけでなく、
構造や法規、施工、プラン作成能力など、さまざまな専門知識が関わってくるからです。
お客様と直接話をする担当者自身が、そうした知識を得るために勉強をしたという実績は、
大切な家族と一緒に暮らす家を任せるにあたり、大きなメリットだと私は思っています。
一方で、住宅会社そのものについて考えてみると、家を建てられるのは当たり前です。
図面が描けて建築許可を取る。基礎工事ができる。
図面通りに柱を建てられる。断熱材をきっちり施工できる。
キッチンやお風呂を水漏れすることなく取り付けられる。
これらは住宅会社にとって、言ってみれば「入場チケット」のようなものなのかもしれません。
では、お客様が本当に求めているものは何でしょうか?
私は、20年経っても、30年経っても、「この家を建てて良かった!」
と思ってもらえることではないかと考えています。
これからの住宅会社は、「知識や技術を持っているだけ」では価値にならない時代
になっていくと推測しています。
有名な会社だから安心。他より値段が高いから、きっと安心。
テレビでCMをしているから安心。
もちろん、それらも会社を判断する材料の一つでしょう。
でも、それだけで本当に良い家づくりができるとは限りません。
大切なのは、持っている知識や経験、技術を使って、
「目の前のお客様を、どれだけ幸せにできるのか?」
ということだと思います。
資格も技術も、そしてAIも、すべては道具です。
持っているだけでは意味がありません。
「それを誰のために、どう使うのか?」
そこに、本当の価値があるのではないでしょうか。
そう考えると、私の一級建築士という資格も、ただ持っているだけではダメで、
日々、知識と経験を吸収しながら磨いていかなければならないと思っています。
これからもハミングホームは、
「家を建てる会社」ではなく、「家づくりを通して、お客様の暮らしをより良くし、幸せになっていただけるようサポートする住宅会社」
でありたいと思っています。
余談ですが、資格の話を書いていて、ふと思い出したのが、
手塚治虫さんの漫画『ブラック・ジャック』です。
主人公のブラック・ジャックは医師免許を持っていないにもかかわらず、天才的な医療技術と知識を持つ医師として描かれていましたよね。
若い頃の私は、この漫画を夢中になって読んでいました。
当時は深く考えていませんでしたが、「資格とは何なのだろう?」
ということも、あの漫画の大きなテーマの一つだったのかもしれません。
もちろん現実の世界では、必要な資格や免許はきちんと持っていなければなりません。笑
でも、資格を取ることがゴールではなく、
「その資格を使って、社会とお客様の役に立つんだー!」
という思いが、本当のスタートなのだと思います。
一級建築士になって長い年月が経った私も、そんな初心を忘れずにいたいものです・・・。