寒い日が続いたかと思えば、
急に暖かい日が来たり。
夜には小雨がぱらついたりしています。
季節は確実に春へと向かっていると
思われます。
そしたら今朝、玄関を出た瞬間に
大きなくしゃみが出ました。
ああ、そうか。
今度は花粉の季節なのですね。笑
そんな中、町田そのこさんの最新作
『蛍たちの祈り』を読了しました。
蛍たちの祈り | 町田 そのこ |本 | 通販 | Amazon
ひと言で感想を言うのは難しいですが、
いわゆる“読後感”がとても良い小説でした。
物語は、山間の小さな町で生きる
”人々の祈り”が描かれています。
虐待や家族の秘密、背負わされた罪。
子どもには何の責任もないのに、
人生のスタート地点で大きな重荷を
背負わされてしまう現実が物悲しく
感じさせられます。
私は住宅業界に身を置く者として、
正直、胸が苦しくなりました。
家は、雨風をしのぐ「箱」ではありません。
家は、その人の人生の“土台”です。
もし、その土台が安心できる場所でなかったら。
もし、家の中に恐怖や孤独があったら。
人は、どこで心を休めればいいのでしょうか。
作中にこんな言葉があります。
「生活が便利になるにつれて、蛍も減ったのよ。
何かを手に入れたら何かがいなくなる・・・」
性能、効率、コストパフォーマンス。
私たち住宅会社も、日々そこを磨き続けています。
でも、便利さを追い求める中で、
“蛍のような光”を失っていないだろうか。
家に帰り着いても、心と身体が休まらない
家もあるのではないかと思います。
逆に、決して豪華ではなくても、
「ここに帰れば大丈夫!」と思える家もある。
蛍は強い光ではありません。
でも、暗闇の中では確かに道しるべになります。
家も同じだと思うのです。
豪華でなくていい。
完璧でなくていい。
でも、
そこに帰れば「大丈夫!」と思える場所で
あることを私は望んでいます。
子どもが安心して眠れること。
大人が弱さを見せられること。
失敗しても、やり直せると信じられること。
私は、そんな家をつくりたいと
思っています。
この小説は甘くありません。
生きていくという現実はもっと厳しいことを
突きつけてきます。
それでも、
誰かの祈りが、誰かの光になる。
十五年を経て再会する登場人物たちは、
「人生は、一度つまずいても終わりではない」と
静かに教えてくれます。
私は建物を建てているのではなく、求めたい
“安らぎを受け止める器”をつくっているのだと、
改めて思いました。
子どものころの傷は消えない。
でも、人は光を探しながら生きる。
その光が、蛍のように小さくてもいい。
その光を守れる家を、
一棟一棟、丁寧につくっていきたい。
前作『52ヘルツのクジラたち』でも
感じましたが、町田そのこさんの世界は、
静かで、痛くて、そして優しいので
お勧めです。
冬があけ、春が来るともうすぐ蛍の季節です。
暗い夜に、ふわりと舞う小さな光を見つけたとき、
きっと私はこの物語を思い出すと思います。
そしてまた、「ハミングホームに頼みたい!」と
私どもを信頼して依頼してくださる、
お客様の心を照らす家づくりをしよう!と、
祈りながら仕事を続けるのだと思います。