結論:庭づくりは「見た目」より先に、何に使う庭なのかを決めることが重要
新築住宅の計画では、建物の間取りや住宅設備に時間をかける一方、「庭は家が完成してから考えればいい」と後回しにされることがあります。
しかし庭は、単に建物の周りをきれいに見せるためのスペースではありません。
子どもが遊ぶ、洗濯物や布団を干す、家族でバーベキューをする、家庭菜園を楽しむ、ペットと過ごすなど、暮らし方によって庭に求められる役割は大きく変わります。
だからこそ、庭づくりで最初に考えたいのは「どんなデザインにするか」ではなく、「この庭で何をしたいのか」です。
たとえば子どもを遊ばせたいなら、リビングやキッチンから庭の様子を確認できる配置が便利です。バーベキューを楽しみたいなら、キッチンから食材や食器を運びやすい動線も考えたいところです。
また、宮崎では年間を通して屋外で過ごしやすい時期がある一方、夏の強い日差しや台風、雑草への対策も欠かせません。
庭を広くつくれば、それだけ手入れする面積も増えます。「広い庭=暮らしやすい庭」とは限らないのです。
さらに、駐車場や玄関アプローチ、物置、カーポートなども同じ敷地の中につくられます。
建物・庭・駐車場・アプローチを別々に考えず、土地全体を一つの住まいとして計画すること。
これが、完成後も使いやすく、長く楽しめる庭づくりの基本です。
庭の広さを決める前に「庭で何をするか」を考える
「せっかく一戸建てを建てるなら、広い庭が欲しい」というご希望は少なくありません。
もちろん敷地に余裕があれば、広い庭は魅力的です。しかし、庭は広ければ広いほど良いわけではありません。
大切なのは、その広さを実際に使うかどうかです。
たとえば、小さなお子さんがいるご家庭なら、芝生や人工芝を敷いて遊べるスペースがあると便利です。夏には小さなプールを出したり、家族で食事をしたりすることもできます。
一方、共働きで庭の手入れに時間をかけにくいご家庭なら、広い芝生をつくることで芝刈りや雑草管理の負担が増える可能性があります。
家庭菜園を楽しみたい方も、庭全体を畑にする必要はありません。日当たりの良い一角だけを菜園スペースにする方法もあります。
まず家族が庭でやりたいことを書き出し、そのために必要な広さを考えると無駄を減らしやすくなります。
| 庭でしたいこと | 必要になるスペース・設備 | 計画のポイント |
| 子どもの遊び場 | 芝生・人工芝など | 室内から見守れる配置 |
| バーベキュー | テラス・デッキなど | キッチンとの動線 |
| 家庭菜園 | 日当たりの良い場所 | 水栓の位置も確認 |
| 洗濯物を干す | 物干しスペース | 洗濯動線・目隠し |
| ペットと遊ぶ | フェンス・足洗い場 | 飛び出し防止 |
| ガーデニング | 植栽スペース | 日当たり・管理方法 |
このように考えると、「庭を何坪つくるか」より、必要な機能をどのように配置するかの方が重要だと分かります。
将来子どもが成長すれば、庭の使い方も変わります。
最初から用途を固定しすぎず、将来別の使い方ができる余白を残しておくことも、長く使える庭をつくるポイントです。
暮らしやすい庭は「室内とのつながり」と「目隠し」で決まる
庭をつくるときは、庭だけを見て計画するのではなく、室内との関係を考えることが重要です。
特にLDKと庭のつながりは、庭を実際に使う頻度に大きく影響します。
たとえばリビングの掃き出し窓からそのままウッドデッキやタイルデッキへ出られるようにすると、室内と庭を一続きの空間として使いやすくなります。
休日に庭で朝食を食べたり、子どもを遊ばせたりするときにも便利です。
一方で、庭が道路や隣家から丸見えでは、せっかくスペースをつくっても落ち着いて使えないことがあります。
そこで考えたいのが目隠しです。
フェンスや植栽を利用して視線を適度に遮ることで、庭の居心地を高めることができます。
ただし、高いフェンスで敷地全体を囲めば良いというものでもありません。
圧迫感が出たり、風通しが悪くなったり、費用が増えたりする可能性があります。窓や庭で座る位置から「どの方向の視線を遮りたいのか」を確認し、必要な場所だけ対策する方法もあります。
| 計画する場所 | 暮らしやすくするポイント | 注意点 |
| LDKと庭 | 出入りしやすくする | 段差・窓位置 |
| デッキ | 室内と庭をつなぐ | 日射・耐久性 |
| フェンス | 必要な視線を遮る | 高さ・風圧 |
| 植栽 | 柔らかく視線を遮る | 成長・落葉・管理 |
| 外部水栓 | 洗車・庭・掃除に利用 | 使う場所との距離 |
| 照明 | 夜間の安全・防犯 | 配線を早めに計画 |
庭へ出るために靴を取りに行かなければならない、食事を運ぶのに家の中を何度も往復する、といった小さな不便があると、次第に庭を使わなくなることがあります。
「庭がある家」ではなく「庭を使いたくなる家」にすること。
そのためには、間取りを考える段階から庭とのつながりを計画することが大切です。

宮崎の庭づくりでは「日差し・台風・雑草」への対策を考える
宮崎で庭を計画するときに意識したいのが、地域の気候です。
まず考えたいのが夏の日差しです。
日当たりの良い庭は魅力的ですが、真夏に日陰がまったくなければ、昼間に庭で過ごすことが難しくなります。
軒やテラス屋根、シェード、植栽などを利用し、必要に応じて日陰をつくることが大切です。
特に落葉樹を上手に配置すると、夏は葉が日差しを遮り、冬は葉が落ちて太陽光を室内へ取り込みやすくすることもできます。
ただし、植栽には剪定や落ち葉の掃除などの管理も必要です。
次に考えたいのが台風です。
フェンス、物置、テラス屋根、植栽などは強風の影響を受けます。デザインだけでなく、設置場所や固定方法、必要な耐風性能などを検討することが重要です。
そして、多くの方が暮らし始めてから悩むのが雑草です。
新築直後はきれいな土でも、時間が経てば雑草が生えてきます。
天然芝は見た目や肌触りに魅力がありますが、芝刈りや水やりなどの管理が必要です。人工芝は日常の手入れを減らしやすい一方、初期費用や経年変化なども考える必要があります。
防草シートと砂利を組み合わせる方法や、コンクリート・舗装材を利用する方法もあります。
重要なのは、「何が一番おしゃれか」ではありません。
自分たちが将来どれくらい庭の手入れに時間を使えるのかを考えて選ぶことです。
新築時には庭づくりを楽しめても、10年後、20年後には生活スタイルが変わっている可能性があります。
長く暮らす住宅だからこそ、管理のしやすさまで含めて庭を計画しましょう。
庭づくりの予算は建物・駐車場と一緒に考える
庭づくりで注意したいのが予算です。
建物の打ち合わせを進め、キッチンや住宅設備などに予算を使った結果、外構工事の段階になって「庭まで予算が残っていなかった」というケースがあります。
前回の外構工事の記事でもご紹介したように、外構は家づくりの最後に余った予算で行うものではありません。
特に庭は、何をつくるかによって費用が大きく変わります。
天然芝、人工芝、タイルデッキ、ウッドデッキ、植栽、フェンスなど、希望をすべて取り入れると予算が膨らむことがあります。
そこで、まず生活に必要なものと、後から追加できるものを整理します。
たとえば排水や高低差への対応、玄関アプローチなどは早い段階で計画した方が良いでしょう。
一方、植栽やガーデニング用品などは、暮らし始めてから少しずつ増やすこともできます。
また、庭づくりではメンテナンス費用も忘れてはいけません。
最初にかかる費用だけではなく、植栽の剪定、デッキのメンテナンスなど、将来必要になる手間や費用まで考えておくことが大切です。
専門家コメント

一級建築士 岩下政人(ハミングホーム 代表取締役)
「庭づくりのご相談では、まず『庭で何をしたいですか?』と考えていただくことが大切です。広い芝生が欲しいという方でも、実際の暮らしを聞いてみると、必要なのは子どもが遊べるスペースとバーベキューができる場所だけだった、ということもあります。建物を配置して残った場所を庭にするのではなく、家の中からどう庭へ出るのか、どこから視線が入るのか、駐車場を何台確保するのかまで一緒に考えることが重要です。宮崎では日差しや台風、雑草対策も含め、長く管理しやすい庭をおすすめしています。」
庭は完成時の写真だけを見ると、植栽が多く緑豊かな方が魅力的に見えるかもしれません。
しかし、家は写真を撮るためではなく、何十年も暮らすためにつくるものです。
「つくったときにきれいな庭」ではなく「10年後も無理なく使える庭」という視点を持つことが、後悔しない外構計画につながります。
まとめ:庭は「余ったスペース」ではなく暮らしを広げる場所
庭づくりというと、芝生や植栽、ウッドデッキなどのデザインから考えたくなります。
しかし、本当に大切なのは「庭でどのように暮らしたいのか」を最初に考えることです。
子どもと遊びたいのか、バーベキューをしたいのか、家庭菜園を楽しみたいのか、それともできるだけ手入れをせず、室内から緑を眺めたいのか。
目的が変われば、必要な庭の広さや設備も変わります。
さらに、庭は建物と切り離して考えることはできません。
リビングから庭への出入り、キッチンとの距離、道路や隣家からの視線、駐車場とのバランスなどを同時に考える必要があります。
宮崎では、夏の日差し、台風、雑草など地域特有の条件にも配慮したいところです。
そして、庭を広くすればするほど管理する面積も増えます。
庭づくりで大切なのは「広さ」ではなく「使いやすさ」と「管理しやすさ」です。
家づくりでは建物を先に完成させ、余った場所を庭にするのではなく、土地を一枚の図面として見ながら建物・駐車場・アプローチ・庭を一緒に計画しましょう。
そうすることで、室内だけで完結する家ではなく、外まで暮らしの一部として楽しめる住まいになります。
FAQ
Q1. 新築住宅に庭は必要ですか?
A. 必ず必要というわけではありません。庭で何をしたいかを考え、家族の暮らし方に必要な広さを確保することが大切です。
Q2. 庭は広い方が良いですか?
A. 広いほど良いとは限りません。庭が広くなると管理する面積も増えるため、目的に合った広さを考えましょう。
Q3. 天然芝と人工芝はどちらがおすすめですか?
A. 天然芝は自然な質感が魅力ですが管理が必要です。人工芝は日常の手入れを減らしやすい反面、初期費用や経年変化などを考慮して選びましょう。
Q4. ウッドデッキとタイルデッキはどちらが良いですか?
A. デザイン、使用目的、メンテナンス性などによって異なります。LDKとの高さや庭の使い方まで含めて検討すると良いでしょう。
Q5. 庭の雑草を減らす方法はありますか?
A. 防草シートと砂利、人工芝、コンクリートや舗装材などを適切に使い分けることで、雑草管理の負担を軽減できます。
Q6. 庭の目隠しフェンスは高い方が良いですか?
A. 高ければ良いとは限りません。圧迫感や風の影響もあるため、実際に視線が気になる場所と高さを確認して計画しましょう。
Q7. 宮崎の庭づくりで注意することは何ですか?
A. 夏の強い日差し、台風による強風、雑草への対策などを考えておくことが重要です。
Q8. 庭づくりは後からでもできますか?
A. 植栽など後から追加できるものもあります。ただし、排水や電源、外部水栓、フェンス基礎などは新築時から計画しておくと対応しやすくなります。
Q9. 子どもが成長した後、庭を駐車場にできますか?
A. 敷地条件によっては可能です。将来の増車を想定する場合は、最初から変更しやすい配置や高低差にしておくことをおすすめします。
Q10. 庭づくりはいつ相談すれば良いですか?
A. 建物配置やLDKの窓、駐車場などと深く関係するため、できれば間取りを考える初期段階から相談することをおすすめします。
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